腎臓の働き

腎臓という臓器が身体のどこにあるかご存じでしょうか? 腰のやや上、胃や肝臓の後ろの背中側に、背骨をはさんで左右一対になっています。万一どちらかが機能しなくなっても大丈夫なように2つあるのは、それだけ重要な役割を果たしているからです。腎臓の主な働きは、以下の3つです。

1. 血液を浄化し、老廃物や毒素を排泄する

取り除いた血液の老廃物や毒素は尿中に排泄され、体の外へ送り出されます。腎臓の機能が低下すると、老廃物や毒素が体内に溜まってしまいます。

2. 体内の水分量や電解質の調整

身体の中の水分や電解質(ナトリウム、カリウム、リン、カルシウム、ほか)は、多過ぎても少な過ぎても体内環境に悪い影響を与えます。それらの量をバランスよく調節するのも腎臓の役割です。

3. ホルモンの分泌と調整

赤血球を作るエリスロポエチンや血圧を調節するレニンなどのホルモンを分泌します。また、ビタミンDを活性化してカルシウムの吸収を助けています。

腎臓病の種類と症状

腎臓の機能が低下すると慢性の腎不全となり、そのまま進行すると尿毒症を引き起こします。尿毒症は、皮膚や神経、循環器、消化器など身体中にさまざまな悪影響を及ぼし、放置すれば命にもかかわる危険な症状です。腎臓病はいくつかの種類に分けることができます。

糖尿病性腎症

糖尿病の合併症によるもので、透析治療の導入原因の第1位(約40%)を占めています。

慢性腎炎(慢性糸球体腎炎)

腎臓内で血液をきれいにするフィルターの役割を果たす糸球体に障害が起きる病気です。

腎硬化症

高血圧や動脈硬化症による血行障害が原因の腎臓病です。血行障害は糸球体などの腎臓の組織に障害をおこし、腎不全へ進行します。

多発性のう胞腎

のう胞(液体が溜まった袋)がたくさんできることによって腎臓を圧迫し、機能が低下する遺伝性の病気です。脳動脈瘤などの合併症をともなっていることがあります。

これらの腎臓病によって引き起こされる症状には、尿毒症をはじめ、たんぱく尿、血尿、むくみ(浮腫)、高血圧、尿量の増減等があります。腎臓病は自覚症状が乏しいため、気付いた時には慢性腎不全が進行してしまい、尿毒症の一歩手前ということも珍しくありません。